かなしみ。

観た映画についての短文まとめ

イコライザー:The Final(アントワーン・フークア監督、アメリカ、2023年)

(The Equalizer 3, 2023)

 

 シチリアのワイン農園を襲撃しなにやらマフィアっぽい集団を全滅させなロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)だったが、思わぬ深手を負い、流れ着いた天国のような港町のアルテモンテで療養することに。地元民と親交を深め、町に愛着を持つようになったころ、思わぬ方面からナポリマフィアの魔手が伸びる。キアヌ・リーブスにしろリーアム・ニーソンにしろトム・クルーズにしろ60歳まわりのアクションスターに共通しているのは使い果たされたような疲労感と心身共に傷ついた印象であって、デンゼル・ワシントンのロバート・マッコールもその意味ではご多分に漏れない。映画の前半は傷の癒えない身体を杖でおしてえっちらおっちら歩く。ただ、ほかの老齢アクションスターと違うのは戦闘モードに入るとアンタッチャブルな超人亡霊と化すことだ。そのうちというかすでにペイルライダー。彼は敵からずっと問われ続ける。「おまえは誰だ? 何者なんだ?」。誰何を放棄し、ただ彼を受け容れる人たちは幸いである。彼によって慈しまれるだろうから。